更新履歴と暴言を吐いて屁理屈を言うブログ
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一回クリアしたらまとめます。
てことでやるよ(`・ω・´)シャキーン
そして話は続きに。
てことでやるよ(`・ω・´)シャキーン
そして話は続きに。
早速翔くんに会いに行こうと思ったら昼休みが終わった。この野郎と拳を震わせ大人しく授業を受ける。数学で、先生に当てられて前に出され、黒板に書かれた問題を解けといわれた。式を見て答えだけ書いたら「途中計算も書け」と言われた。なんとなくこれかな? って答えを書くと結構当たる弥生さんです。
あっているのならば問題ないじゃないかと返したら「途中計算が大事なんだ」といわれた。そんな嫌いな先生じゃないので、真面目に計算した。導き出された答えは間違っていた。愕然とした数学の先生の表情が忘れられない。
次の時間は何と体育。会いに行く時間がないじゃないか!! 誰だ時間割考えた奴!
バスケだったので、ボールに怒りを込めた。パスを受け取って、ゴールに向かって全力で投げた。ごがががががん! とゴールが愉快な音を立てた。すっきりしない。
授業が終わって帰りのHR。余計なことを言うんじゃねえ……!! という熱い視線を担任に送ったところ華麗にスルーされた。でもいつも通りのHRだったので問題ない。
私は教室を出た。たぶん掃除当番ではないので問題ない。
翔くんのクラスへ向かう。帰りの時間だけあって人がたくさんいる。ふざけんな。廊下は走っちゃいけないので早足で歩く。
到着! 教室を覗いてみると絶賛掃除中。その中に翔くんはいない。なんてこったい。
その中に翔くんのお友達と名乗る少年が、翔くんはさっさと帰ったと教えてくれた。なんという……! でも出たばっかりだから間に合うかも。とも言ってくれた。そうしてケータイを取り出し翔くんを呼んでくれている。なんといういい少年なんだろう。今度お礼に鼈甲飴をあげよう。科学部に突撃せねば。
そして私は「間に合うかも」と言う言葉を信じて玄関に向かった。
玄関は人がたくさんいた。こっから一年生の靴箱まで行かなくちゃ! 私は人と人の間を強引にすり抜ける。嫌な顔をされるが気にしない。
翔くんはどこだ! 翔くんはどこだ!
一生懸命首と視線を動かして探す。
みんな好き勝手にしゃべってるから、ざわざわしている。
翔くん見えない。もう帰っちゃったかな。
でも諦めない。
誰が諦めるか。
そう強く思って正面を見たら、翔くんがいた。
翔くんがいた。
翔くんがいた!
「しょーーーーーーーーーーーーーくん!!」
私の大声に周囲の人はおろか、玄関全体が静かになった。びっくりしたんだろう。そんなことはどうでもいい。
翔くんがいる。
ケータイ片手に私を見て、驚いている。
「翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん!!」
人を掻き分け前に進む。
「翔くん!!」
やっとめっけた!
「やよ先輩!」
「やった、翔くん!」
逃がしてなるものかと私は翔くんの片手を両手で握った。相変わらず翔くんの手は暖かい。
「翔くんのクラスに行ったらもう帰ったって言うから慌てて追いかけてきたんだよ」
それはもう全力で。
「え、そうだったんですか。すみません」
「んでね、その電話は翔くんの友達が気を利かせてかけてくれたんだよ」
「そうですか」
そう言って翔くんはケータイをいじり、バイブレーションが止まった。切ったんだ……。何気に酷い。でもそれどころではない。
「あのねあのね!」
もうちょっと強く握る。
「あのね! 今度のお小遣いでカメラ買うから! でね、マイクも買う! そんでパソコンも使えるようになるから!」
「はい?」
「うん、あのね、カメラとマイクをパソコンにつなげたら、テレビ電話みたいに出来るんだよ」
きょとんとしている翔くんに、キョンくんから教えてもらったことを伝える。軽く頷くと納得してくれた。
「だからね、翔くんがオーストラリアに行っても、時間を合わせればお話できるよ」
「オーストリアです」
そうだっけ?
「うん、そうそうそうそう! オーストリア。でね」
一応訂正しておこう。
「手紙も書くし、電話もするよ! でもメールが一番お手軽だね!」
「そうですね。メールが一番安いです」
「でも手紙って貰うと嬉しいよ!」
「じゃあぼくもやよ先輩に手紙書きます」
「うん!」
うなずき合った。もうこれで目的は果たしたようなものだ。
「ところでこれは何の話ですか?」
だが肝心の翔くんがさっぱり判っていなかった。何故だ。何故この私のナイスな説明で理解出来ないんだ! ……もしかして翔くん、天然? そんな馬鹿な……!
「翔くんが、オーストリアに行っても寂しくならないようにする話!」
翔くんが息を呑んだ。思ってもいなかったことを言われた、そんな顔をしている。
すごくびっくりして、私を見ている。
「でもね、いつかきっと必ず!」
――そう、絶対に。
「手紙でも、メールでも、電話でも、テレビ電話でも、それでも足りなくて、寂しくて寂しくてしょーがなくなるときがくるから!」
――絶対に、そんな日が来るから。
――だから、
「そのときがきたら、私、翔くんに会いに行くから!!」
口に出したら、本当に出来るかなとかお父さんもお母さんも納得してくれるかなとかそういう色々な不安が消し飛んだ。
不安の代わりに心の中に、絶対に会いに行ってやるという固い誓いというか決心というか、何かが生まれた。
――私は絶対に翔くんに会いに行く。
「で、でもオーストリアは遠いし、飛行機代だって高いから、そんな」
翔くんから出た言葉は真っ当なことだった。当然だ。だって私らまだ中学生だ! 私の言ってることちょっと難しいよ!
でも出来ないって訳じゃないよ!!
「大丈夫!!」
力いっぱい太鼓判を押してやるように、私は胸をどんと叩いた。むせた。というか痛い。
「誰かをね、大好きって思う気持ちはね、無敵なんだよ!
空だって飛べる、海だって越えられる!
私は翔くんのことが大好きだから。だから、会いに行くよ!
私は翔くんに会いに行く。
翔くん、君に会いに行く!!」
翔くんの不安を吹き飛ばすように力強く宣言した。
私も言ってびっくりした。
そうか、私翔くんのことが大好きだったのか! なんとなく知ってたけど、こう改めて自覚すると嬉しいね。数字で表すと0.999999999以下省略皐月くらいだ! おおう、これは洋子やキョン君たちと並ぶ私の好き好きランキング堂々の同率二位じゃないか!!
そりゃ大好きだ!!
私が自分の気持ちに納得して翔くんを改めて見た。
いっつも私の心を癒してくれる、ぽやぽやしている表情が、驚きで埋め尽くされている。そーかそーか、驚いたか。私も驚いたからオアイコだ。
驚いて何もいえない翔くんの目が、赤くなっていって、泣きそうな表情になる。
目に、涙が浮かんで来ている。
あれ?
あれ?
私もなんか、鼻がつーんとして、目が熱くって、胸が苦しくなる。
いかんいかん、私は先輩、そしてこの学校で一番偉い生徒会長。もっと堂々と胸を張っていなくていけない。
我慢我慢。
ほら、何か言わなくちゃ。翔くんに言わなくちゃ。
だから安心して、行ってこいって。
言わなくちゃ。
「――うう……」
それなのに私の口から出たのはみっともない声だった。
すぐに頬に熱いものがつーっと流れ落ちた。
それが何かなんて確認するまでもなかった。
握り締めた翔くんの手を見る。気が付けば翔くんは私の手を握り返してくれていた。すごくすごく暖かかった。
手が。
何より心が。
それを自覚して、心の奥底で何かがはじけた。
先輩としての立場とか、生徒会長がどーのこーのとか、そんなことよりも、もっとずっと大事なことがある。
それは……
それは――
「そんなこと言ったってやっぱり翔くん遠くに行くのやだあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
私の、本当の気持ち、だ――!!!!
慣れない我慢なんてするもんじゃない。私はただ翔くんがいなくなるのが嫌で泣き叫んだ。
翔くんの、暖かい手を握り締めて。
嫌なもんは嫌だ。
翔くんがいなくなるのは嫌だ。
学校で、たまにぽっと出た外で、約束して映画館やケーキ屋で、また翔くんに会いたい。
だって好きだもん。大好きだもん。
会えないなんて嫌だよ。
もっともらしく翔くんの転校に納得して、連絡手段を確立させたって、やっぱり翔くんがそばにいてほしいよ。
翔くんの都合を無視してまで一緒にいたくないなんて嘘だ。
一緒にいたい。遠くになんて行ってほしくない。
「ぼくも遠くに行きたくないです。やよ先輩と離れるのは嫌です」
翔くんの手が私の手を包み込んだ。
「もっともっと、一緒にいたいです」
翔くんの声は震えていた。
翔くんは泣いていた。
泣いて、行きたくないって、一緒にいたいって言ってくれた。
嬉しくて悲しくて、なんだかもう訳が判らない。
そんな気持ちを抱え、私たちはお互いの手をぎゅううっと握り締めながら泣き続けた。
鈍感というかなんというか。知っているかい? こんなことを書いておいて私は未だにこの二人が恋愛関係には見えないんだ。
つか長くなるなあ……。
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